2007年03月05日

能面

 日本の能面というのは、単なる道具としてではなく、それ自体が芸術として高く評価されているそうですね。世界的にも。

 さきほど教育テレビで、なにやら能面を用いた伝統芸能をやっていたので、少しだけ観てみたのですが、たった一枚の能面が、本当にさまざまな表情を作り出しているのに吃驚しました。

 笑っている表情、怒っている表情、泣いている表情、楽しそうな表情・・・。実は、これらの表情は全て、微妙にお面の角度を変えることで表現できるんだそうです。

 うーん、能面って奥が深い・・・。

 能面001.jpg
 能面002.jpg
 能面003.jpg
posted by 黙星 at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 批評-文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月03日

『硫黄島からの手紙』※ネタバレあり

 終演が近くなってきたので、いまさらながら見てまいりました。

 それにしても、上映中ずっと涙腺がゆるみっぱなしで困った困った・・・。普段は涙を流すことなど滅多にない私が、作品が始まって3分ほどで泣き出してしまったくらいです。

 冒頭3分で泣いてしまうとは・・・、もちろん新記録です。おそらく今後も更新されることはないでしょう・・・。


 第1部の『父親たちの星条旗』は硫黄島で戦って英雄に祭り上げられたアメリカ兵たちの物語だったのですが、第2部の『硫黄島からの手紙』は、硫黄島で防戦した日本人たちの物語であり、ほとんど確実な「死」を目の前にした人々の物語です。そのような極限状況にある人々の人間性が、ほんとうに見事に描かれていました。

 『星条旗』も素晴らしい内容だったのですが、今回の『手紙』もそれに勝るものがあります。こういう素晴らしい映画は、一生に何回めぐり会えるでしょうか・・・。


 二部を両方とも観て、「戦争の実像と虚像」というのが、『硫黄島二部作』の共通テーマであったと感じました。 恣意的に作り出され、実像からかけ離れてしまった「戦争イメージ」への強い嫌悪感が、製作者の中にあるように思います。

 国や時代、政治の体制に関わらず、政治やマスメディアというものは、戦時になると、ことさらに戦地の英雄をもてはやして国民の戦意を高揚させようとしたり、敵国民への偏見を助長して彼らへの憎悪を煽ろうとする。そうして定着した(もしくは定着させられた)戦争の虚像は、戦争が終わった後も長く残りつづけてしまうものです。

 『星条旗』では、英雄に祭り上げられていく兵士たちの戸惑いを通して、彼らが戦場で経験した「戦争」と、政治やマスメディアが作り出す「戦争イメージ」のギャップが描かれていました。
 硫黄島の戦場でのシーンと、本土に復員して「英雄」になっていくシーンを交互に映し出しながら物語を展開させる演出は、このようなギャップを強調するためのものだったと見ています。

 また、『手紙』でアメリカにとって敵であった人々の人間性を強調したのは、敵国民への偏見や一方的な歴史認識に対して疑問を投げかけたものと解釈できます。
 (たとえば、日本軍の将校が、負傷したアメリカ兵に治療を施すシーンすらありました。また、戦死まぎわの日本軍兵士が「靖国で会おう!」と叫ぶシーンも印象的。このシーンによって、首相の靖国参拝を是認する人々の意見を代弁したとも取れるからです。)


 それにしても、このような重たいテーマを投げかける作品であるのにもかかわらず、主義主張の押し付けや説教臭さをほとんど感じさせず、観る者を自然と感情移入させていく演出には脱帽です。
 俳優さんたちの演技も、素晴らしかった。渡辺謙をはじめ、全ての出演者がハマリ役といった印象を受けました。

 本当に、めったに出会えない名作だったと思う。



 余談ですが、製作者のユーモア(ブラック・ユーモア?)を感じさせる場面があったので、紹介しておきます。
 栗林中将の回想によるシーンです。留学先のアメリカで、あるアメリカ人女性と会話したときのこと・・・。

女性
 「Mr.クリ、日本がアメリカと戦ったらどうなるでしょう?」
栗林
 「貴国にとって、すばらしい同盟国になるでしょう。」
女性
 「いえ、・・・(味方ではなく)敵として戦ったら、ということです。」
栗林
 「・・・小官は、両国は決して戦うべきではないと考えます。」

 栗林中将の「すばらしい同盟国になるでしょう」で吹き出しそうになりました。まぁ実際、日本は「アメリカと戦って」「すばらしい同盟国」になったわけですが・・・。なんというナイス勘違い・・・。


 

 


posted by 黙星 at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 批評-映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。